クレジットカード×DX
クレジットカードのDX推進事例と最新技術・システムをご紹介
クレジットカード業界では、不正利用とその防止のためのセキュリティ対策など、さまざまな課題を常に抱えています
カード情報の盗難や不正取引をいかに効率的に検知し、防止していくかが要求されています
DXの導入により、従来のルールベースの不正取引検知に加えて、AIや機械学習を用いて不正取引のパターンを学習し、検知することで予防したり、被害の拡大を防ぐなどの効果が期待できます
Dcrossは、カード業界のDX推進において活用事例や有効なシステムを提案しています
クレジットカード×DX
導入企業の成功事例を紹介
銀座ステファニー化粧品株式会社
月数十件の不正注文を未然に防止することを実現した「O-PLUX」
銀座ステファニー化粧品株式会社は「O-PLUX」を導入し、月に数十件発生していた不正注文を未然に防ぐことに成功しました。
当サービスは、データサイエンスを活用した独自の審査ロジックを用いる不正注文検知サービスです。リアルタイムで不正注文を検知し、クレジットカードのなりすまし注文、不正転売・悪質転売、後払い未払いといった種々の不正被害を防止することが可能です。
同社は、以前は大量の不正注文の検知を2名のスタッフで手作業で行っていたため、すべての不正を防ぐことが難しい状況にありました。
しかし、当サービスの導入後、月に数十件の不正注文を未然に防ぐことが可能となりました。さらに、不正検知のタイミングが出荷前に可能となったことも導入後の大きなメリットとなっています。
東急カード株式会社
カード会社のキャンペーン施策を成功に導く「Prediction One」
東急カード株式会社は「Prediction One」を導入し、キャンペーン施策において従来の効果の2倍以上の効果を得ることに成功しました。
当製品は、専門的な機械学習やプログラミングの知識がなくても、数クリックで予測分析を実行できるため、従来は経験や直感に頼りがちだった業務をAI化することで、業務効率化と属人化の解消を実現しています。
導入前には、単純なデータを用いたセグメンテーションとその分析を実施していました。しかし、人間の知見に基づくものであったため、得られる情報は限定的であり、データからの深い洞察を得ることが困難でした。
導入後は、10万行に及ぶ大量のデータに対しても数十分で結果が得られるようになりました。さらに、当製品で作成したセグメントは、担当部署が考え出したセグメントと比較して、2倍以上の効果を得ることに成功しました。
与信審査基準の変更にも柔軟に対応可能な次世代基幹系BPMツール「IPM」
株式会社UCS
株式会社UCSは「IPM」の導入により、入会審査における不備チェック作業を約50%削減する成果を達成しました。
当ツールは、業務判断要素をルールとして設定することで処理の自動化を可能にするツールです。
同社は、クレジットカード事業の入会審査システムにおいて、大規模な改修が必要となる度に高いコストが発生するという課題を持っていました。
しかし、「IPM」の導入により、自動審査のサブシステム化による改修コストの削減と、審査・点検の自動化による業務効率の大幅な向上を実現しました。
具体的には、自動審査をルール化することにより、入会申込書の不備チェックに必要な労力を約50%削減。
加えて、ルールエンジンによる自動審査の導入により、申込書の量に左右されることなく、一貫して正確で迅速な処理が可能となりました。
クレジットカード
DX推進のメリットを紹介
顧客データの有効活用
顧客体験の向上
セキュリティの強化
顧客データやトランザクションデータの収集と分析により、経営層や管理職は客観的なデータに基づいて意思決定が行えます。データは個々の意見や推測ではなく、具体的な数字や結果を提供するため、より明確で説得力のある意思決定を可能にします。具体的には、初期信用設定や途中審査などで顧客の信用スコアを計算するためにデータが活用されます。このスコアは顧客の返済履歴、現在の債務レベル、信用照会の頻度などのデータに基づいています。これにより、企業は顧客の将来のクレジット返済能力を評価し、リスクを管理することができます。
クレジットカード会社がDXを導入することで、顧客満足度やロイヤルティの向上につながり、結果的に売上の増加に貢献します。
顧客体験とは、製品やサービスの利用過程全体を指し、その体験が便利でポジティブな印象をもたらすほど、顧客の満足度が向上します。
具体的な例としては、利用明細をリアルタイムで確認したり、手続き後すぐに変更内容が反映されるなどの機能があります。また、AIによるチャットボットの導入により、24時間対応のカスタマーサポートが可能となり、顧客の心配事を即時に解消することができます。
これらの利点から、DXの導入はクレジットカード会社における顧客体験の向上に大いに貢献すると言えるでしょう。
DXの導入によってクレジットカード会社はセキュリティの強化を実現することができます。クレジットカード取引における不正行為を防ぎ、顧客の信頼を維持する上で極めて重要な要素と言えるでしょう。
具体的な施策としては、AI技術を活用した不正検知システムの導入が可能です。例えば、機械学習を用いた不正検知システムは大量の取引データから異常なパターンを学習・検出し、リアルタイムで不正行為を特定できます。これによりリスクを早期に検知し、迅速に対処することが可能となります。
このようなセキュリティ強化により、クレジットカード会社は不正行為から顧客を保護し、信頼性を維持し続けることが可能となるでしょう。
クレジットカード×DX
重要になる最新技術とシステム
01
DWH(データウェアハウス)
クレジットカード会社におけるDX技術では、データウェアハウス(DWH)の活用が重要です。DWHは、企業が蓄積した大量のデータを統合し、効率的に保存・管理・分析できる中心的なデータの保存場所を指します。
クレジットカード会社では、複数のシステムやデータソースからトランザクションデータや顧客データなどのデータを収集しています。
DWHを使用することで、異なるデータソースからのデータを統合し、一貫性のあるデータを提供できます。
これにより、複数のデータを一元管理し、顧客の傾向などを分析することが可能になります。さまざまなデータを統合し、それを分析することでデータから新たなインサイトを得ることができます。
02
データレイク
クレジットカード会社におけるDX技術には、DWHと類似したデータレイクの活用も重要です。データレイクは企業がさまざまな形式のデータを大量に収集・保存し、柔軟な分析や活用を行うためのデータの貯蔵場所です。
具体的には、データレイクにはSNSから抽出したデータ、コールセンターのレコーディングデータ、Webサイトのログデータなど非構造化データと呼ばれるデータ形式に特化してデータを格納することができます。
一方、DWHはこれらの非構造化データはあまり得意ではありません。
クレジット業界では、これらの非構造化データを活用して、顧客の意見や嗜好、トレンドの把握、顧客サービスの向上、マーケティング戦略の最適化などを行います。
03
ETL(Extract Transform Load)
ETLの活用は、データ活用において非常に重要です。ETLは異なるシステムや場所からデータを抽出し、必要な形式に変換してからDWHやデータレイクにデータを格納するツールです。
データを整えずに活用する場合の影響として、データ品質が低下し、分析結果が信頼性に欠ける可能性があります。さらに、重複や欠損データが増加し、正確な分析やそこから得られるはずの気づきを妨げる可能性があります。
具体的なETLの活用事例としては、顧客の取引データやコンタクト履歴、オンライン活動などのデータを統合し、個別の顧客プロファイルを作成して顧客に合わせたサービスを展開することが挙げられます。これにより、顧客満足度の向上に寄与することができます。
04
二要素認証
二要素認証は、ユーザーの身元を確認するために2つの異なる要素を使用する認証方法です。
一つは登録時に自身で登録したパスワードなどであり、もう一つはスマートフォンにおいてメールより認証するなどが挙げられます。これにより、単一のパスワードだけでなく、追加の要素を必要とするため、セキュリティレベルが向上します。
具体的な事例には、ユーザーがオンラインでクレジットカード取引を行う際、パスワードと共に一時的なセキュリティコードを入力することで、不正アクセスや不正取引を防止します。
二要素認証によって、クレジットカード会社は顧客データや取引のセキュリティを強化し、不正アクセスや不正取引からの保護を実現します。
05
トークン化
トークン化は、データを置き換えることでクレジットカード番号などの個人情報の機密性を保護する方法です。
具体的には、顧客の個人情報やクレジットカード番号などのデータをランダムな文字列や数値で置き換えます。この置き換えられたデータを「トークン」と呼びます。
トークンは元のデータを特定するための鍵を持っていますが、外部の人にとっては意味を持たない文字列や数値です。
不正なアクセスが行われた場合でも、攻撃者はトークンしか取得できず、個人情報や取引データを読み取ることはできません。これによって、顧客のデータを保護し、セキュリティリスクを最小限に抑えることができます。