医療×DX
医療のDX推進事例と最新技術・システムをご紹介
医療業界は、患者の医療記録を始めとする大量のデータ管理、そして看護師や医師の人手不足といった課題に直面しています
高齢化社会が加速する中で、これらの課題への対策は急務となります
DXの導入は、データ管理の効率化、遠隔医療、リモート診療の実現などにより、これらの課題を解消する可能性を持っています
Dcrossは、医療業界のDX推進における実践的な事例や有効なシステムの提案を行っています
医療×DX
導入企業の成功事例を紹介
医療法人徳洲会 南部徳洲会病院
発熱外来問診のスタッフ数を10人→2人に削減することを実現した「ユビーAI問診」
南部徳洲会病院は、「ユビーAI問診」を導入したことで、発熱外来問診のスタッフ数を10人から2人への削減を実現しました。
当製品は、2017年より提供されているAI搭載型のWeb問診システムです。 AIが患者1人ずつに自動で質問を作成したり、聴取したりして問診票が完成します。 その完成した問診票の結果を医師が1クリックするだけで電子カルテに転記することが可能です。
当院はコロナ以降10名のスタッフが発熱外来につきっきりで問診業務の負担軽減が急務でした。
当院では新型コロナウイルスの流行以降、10名のスタッフが発熱外来に全力を尽くし、問診業務の負担軽減が急務でした。製品導入により、問診業務の人手が減少した結果、スタッフは導入前と比べて平均で1時間以上早く帰宅できるようになりました。また、人件費の観点から見ても、保守的な見積もりで月に60万円以上の削減が達成されています。
東京心臓血管・内科クリニック
オンライン診療との併用が可能な電子カルテ「CLINICSカルテ」
東京心臓血管・内科クリニックは、「CLINICSカルテ」を導入したことで、患者へのオンラインサポートを迅速に提供することを可能にしました。
当製品はクラウド型の電子カルテで、予約から診療、会計までをワンストップで管理できます。さらに、別途医療会計ソフトの準備は不要です。そして、CLINICSの患者向けアプリを利用する患者に対しては、アプリを通じた受診喚起や検査データの送付などのオンライン診療が可能となり、更に効率的な診療を行うことができます。
また、当製品を使用することで、生理検査や画像検査へ容易にアクセスでき、専門的な診療も行えます。そして、コスト面においても従来のPC台数による費用が発生しないため、コスト削減にも効果的です。
約8万件にも及ぶ膨大な患者データの移行を自動化するPRAツール「RoboTANGO」
医療法人社団 創福会 ふくろうクリニック等々力
医療法人社団 創福会 ふくろうクリニック等々力は、「RoboTANGO」を導入し、約8万件にも及ぶ膨大な患者データの移行作業を自動化を実現しました。
当製品は、デスクワークにおける単純作業を自動化するRPAツールです。自動化により、手作業よりも正確かつ効率的に作業を行うことが可能であり、また24時間365日休みなく稼働できるため、働き方改革や生産性の向上に貢献します。
当クリニックでは、旧電子カルテがサーバー型でWindows7対応だったため、約8万件にも及ぶ膨大な患者データをクラウド型の電子カルテに移行させることが必要課題でした。
移行前の試算では、移行業務専属の担当者を配置しても作業完了までに約1年が必要と見込まれていました。しかし、「RoboTANGO」の導入により、作業を自動化し、1人分の担当者費用を削減することに成功しました。
医療
DX推進のメリットを紹介
効率的なデータ管理
リモート医療の実現
精度の高い診断
医療業界におけるDXの導入により、効率的なデータ管理が可能となり、業務プロセスの効率化や診療ミスの軽減につながります。
具体的には、データ管理の効率化によって、医師や看護師が患者情報の入力、保存、検索に費やす時間と労力が大幅に削減されます。この時間を次の患者の診療などに割り当てることで、患者の診療サイクルを短縮するなどのメリットも得られます。
さらに、デジタルデータは手書きの記録に比べて誤記の可能性が低く、手書きカルテやファイルの紛失や破損のリスクも減少します。そのため、診療ミスの防止と患者の安全確保が可能となります。
リモート医療は、医療提供者と患者が物理的に同じ場所にいる必要がない医療の形態であり、遠隔地に住む患者や移動が困難な患者にとって、必要な医療を受ける機会を増やします。
リモート医療では、ビデオ会議やチャットなどの医療専用のリモートコミュニケーションツールが利用され、医師は遠隔地の患者の診察、診断、治療を行うことが可能です。
さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のようなパンデミックの際には、医療施設での感染リスクを軽減するメリットもあります。
医療分野でもAI(人工知能)や機械学習を活用した診断ツールの導入が進んだことにより、精度の高い診断が可能となっています。
具体的な例としては、皮膚科領域におけるAIの利用が挙げられます。AIは膨大な数の皮膚病変の画像データを学習し、それらの病変が悪性(皮膚癌など)か否かを判断します。一部のAIは、その診断精度が専門医並み、あるいはそれ以上であると報告されています。これにより、医師はAIの支援を受けつつ、より精度の高い診断を行い、適切な治療を早期に開始することが可能になります。DXの導入は診断の精度を向上させ、患者の治療結果を改善する大きなメリットをもたらすでしょう。
医療×DX
重要になる最新技術とシステム
01
クラウド
クラウド技術は医療業界のDXにおいて、重要な役割を果たしています。具体的には、クラウド型の電子カルテの導入により、全国の病院でカルテ情報が共有されるという大きなメリットがあります。
従来の紙ベースのカルテや病院内サーバー型の電子カルテでは、一般的に情報は特定の医療機関内に限定され、他の医療機関からアクセスするのが困難でした。
しかし、クラウド型の電子カルテの導入により、患者データを安全に保管しつつ、必要なときにはいつでも、どこからでもアクセスすることが可能となります。
02
AI(人工知能)
AIは、医療業界におけるDXを推進する重要な要素であり、前述した皮膚科領域以外にもさまざまな形で活用されています。
一つの例として、画像診断の分野では、AIは大量の画像データを高速に解析し、異常箇所を検出する能力を持っています。具体的には、MRIやCTスキャン、X線画像などの診断において特に重要視されています。
AIは人間が見落とす可能性のある微妙な変化を見つけ出すことが可能で、その結果として診断精度の向上につながります。
さらに、AIは疾病の早期発見にも役立ちます。例えば、大量の電子カルテデータを解析し、特定の疾病のリスクを早期に予測することが可能です。糖尿病や心疾患などの慢性疾病の管理に特に有用です。
03
IoT(Internet of Things)
IoTは、各デバイスに備わっているセンサーがインターネットに接続してデータを収集、活用できる技術を指します。
ウェアラブルデバイスは、医療分野でのIoTの一例であり、患者の健康状態をリアルタイムでモニタリングすることが可能です。
例えば、スマートウォッチなどのフィットネストラッカーは心拍数、睡眠パターン、運動量などのデータを収集し、医療従事者にデータとしての連携が可能です。そのため、患者の健康状態を継続的に監視し、異常があればすぐに対応することが可能になります。
04
3Dプリンター
3Dプリンターは、医療業界において価値あるツールとなっています。
例えば、義肢や補助具の製造には3Dプリンターの技術が使用されています。従来の製法は製作に時間がかかり、オーダーメイドの製品は高コストとなることが一般的でした。
しかし、この技術を活用することで、患者の身体に合わせたオーダーメイド製品を迅速かつ効率よく製造することが可能になります。
さらに、外科医は手術前に患者のMRIやCTスキャンデータを使用して、具体的な患者の解剖学的モデルを3Dプリントすることができます。
そのため、手術前の計画やシミュレーションが可能となり、手術の精度の向上やリスクの低減に貢献しています。
05
RPA(Robotic Process Automation)
RPAは、単調で反復的なタスクを自動化するソフトウェアツールです。
医療業界でRPAが活用されている事例の一つは、患者の予約や管理を自動化することです。例えば、患者がオンラインで予約を行うと、RPAはその情報を自動的に受け取り、適切な時間帯と医師を割り当て、その情報を電子カルテシステムに入力を行ってくれます。
また、保険請求処理もRPAによる自動化の対象です。保険請求のプロセスは診療報酬点数など複雑な考慮が必要で時間がかかり、人間が行うとミスが発生しやすいですが、RPAであればこれらのタスクを迅速かつ正確に行うことができます。